東京ディズニーシーの左側に広がるアメリカンウォーターフロントは、20世紀初頭のアメリカを舞台にしたテーマポートです。
中でものどかな港町をイメージしたケープコッドは、穏やかでゆったりした雰囲気の町で人気があります。
東京ディズニーシーに何度か足を運んだことがある方であれば一度は訪れているであろうエリアですが、村にある建物まで熟知している方は少ないのでしょうか。
今回はケープコッドにある建物に焦点を当て、看板やイラストなどのプロップスから村の背景を読み解いていこうと思います。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
ケープコッドについて
ケープコッドは東京ディズニーシーの左側に広がるテーマポート:アメリカンウォーターフロントにあるエリアのひとつです。
マサチューセッツ州のニューイングランドに実在する漁村ケープコッドとナンタケット島をモデルにしており、のどかでゆったりとした雰囲気です。
近年はダッフィーたちが住む町としても有名ですね。
ますますにぎやかな雰囲気になりつつあるケープコッドですが、実は細やかな部分に目を向けてみると住人たちの生活となりを垣間見ることができます。
▷▷ケープコッドのバックグラウンドストーリーについてはこちらでご紹介しています。
ケープコッドの建物を解説
それでは早速、ケープコッドにある建物について探っていきましょう。
奥側に隣接するテーマポート:ポートディスカバリー側から順番にご紹介していきます。
アーント・ペグズ・ヴィレッジストア
村の左端にある赤い壁が目を引くこちらの建物はアーント・ペグズ・ヴィレッジストア(Aunt Peg’s Village Store)。
ファンの間で「おばさんち」という愛称で親しまれるお土産ショップです。
主にダッフィー&フレンズのグッズを扱っており、木のぬくもりを感じられる店内でじっくりとお買い物を楽しめます。
「おばさん」というのはこのお店を経営しているペグおばさんのことです。
本名はマーガレット・スターバック。
ペグというのは愛称です。
店内にはおばさんが作ったキャンディーや村で収穫したクランベリーなどたくさんの可愛らしいプロップスを見ることができます。
ケープコッドに訪れた際はぜひ立ち寄って、おばさんの温かみに触れてみてくださいね。
▷▷おばさんの過去や店内の豆知識についてはこちらで詳しくご紹介しています。
ご興味のある方はぜひこちらもご覧くださいませ。
パーソンズ・セイル・ロフト
おばさんちの隣にある薄緑色の建物はパーソンズ・セイル・ロフト(Parson’s Sail Loft)という船の帆の修理工場です。
工場長はアガサ・パーソン。
ここでは船の帆やハンモックなどの修理を行っています。
船の模型で作られた看板がとってもおしゃれです。
2階のベランダのようなスペースはウィドーズウォークと呼ばれるもので、夫の帰りを待つ妻が海を望むための場所です。
ウィドーズウォークには修理で使うであろう道具も置かれています。
ここで船の帰りを見守りながら、ケープコッドの漁業を支えているのでしょう。
セーフヘブン・セーラーズ・ホーム(ホテル)
ケープコッドは漁業が盛んで、たくさんの船が往来していました。
そんな疲れた船員たちが休める場所がこちらのセーフヘブン・セーラーズ・ホーム(Safe Haven Sailor’s Home)です。
建物の奥側にあるので少し分かりにくい場所にあります。
「Sailor’s Home」は船員の宿泊所という意味です。
看板の下にはこのような文章が書かれています。
“Time To Drop Anchor Here”
いかりを降ろして過ごしてください
ケープコッドにやって来た船員たちは、こちらのホテルで身体を休めているのでしょうね。
「Hotel」ではなく「Home」というところから想像するに、お手頃価格で宿泊できるホテルなのではないでしょうか?
消防署
続いてはこちらの赤い建物です。
こちらは村の消防署第一分署(Firehouse No.1)です。
表札の下に小さく書かれている「C.C.V.V.F.D.」という文字は、Cape Cod Village Volunteer Fire Department(ケープコッドボランティア消防団)の略です。
なんと、村の消防団は村人の有志によるボランティアなんだそう。
大きな扉の左横には、「Stand Cleaf When Bell Sounds(ベルが鳴ったら空けてください)」という張り紙もあります。
建物の前にある大きな車は消防車です。
現代の消防車と比べるとかなり簡易的な作りをしていますが、アメリカンウォーターフロントの舞台は1912年、ちょうど自動車が普及し始めた頃です。
ケープコッドはニューヨークなどの都市とは違い田舎町ですので、自動車はまだ普及していないようですね。
ちなみに、建物の一角には食べ歩きスウィーツやドリンクを販売しているケープコッド・コンフェクションがあります。
こちらは消防団が作った自慢のスウィーツで、現在ケープコッドで開催中の料理コンテスト(※後述します)に参加しているというバックグラウンドストーリーがあるんですよ。
J.W.パーシー治安判事
消防署の隣にある石造りの建物はJ.W.パーシー治安判事(J.W.Puresey Justice of the Peace)です。
治安判事というのは地域の治安を守るための任務を負う裁判官のことです。
パーシーさんはケープコッドの治安を守る重役を担っているのですね。
看板下のプレートには「Notary Public(公証人)」「Fishing Licenses(業漁業権)」「Wedding(結婚)」と書いてあり、様々な分野を取り扱っている様子が伺えます。
タウンホール(村役場)
ケープコッドのメインストリートであるピーコッド・ストリート中央にそびえ立つ白くて大きな建物。
こちらが村の中枢、村役場(Town Hall)です。
入り口の垂れ幕に「Today Cape Cod Cook-off」と書かれている通り、本日ここではケープコッド料理コンテストが開催中。
消防団はこのイベントに参加していたのですね。
店内にはケープコッドの歴史を知るヒントになる壁画が描かれていますので、訪れた際はぜひチェックしてみてください。
入り口左側にある石碑は、村の設立を記念して建てられた設立記念碑です。
石碑によると、ケープコッドの設立は1680年。
ケープコッドが誕生してからまだ230年ほどしか経っていないのですね。
また、近くにあるにはこのような真っ赤ものがあります。
実はこちら、火災報知器なのです。
こちらの報知器が作動すると、消防車が出動するのでしょうね。
C.W.スローン診療所
村役場の隣にあるのはC.W.スローン診療所(C.W.Sloane,M.D.)です。
M.D.はDoctor of Medicine(医学博士)の略ですので、つまりは村人たちの健康を守るお医者さんということになります。
季節に合わせたお花が綺麗に植えられ、フォトスポットとしても人気の場所ですよね。
看板を見てみると、コウノトリが赤ちゃんを運んでいる姿が描かれています。
なんとスローン博士は産婦人科まで担当しているのです。
消防団や治安判事もそうですが、小さな村だからこそ住人たちが役割を分担し、協力して生活をしている様子が伺えますね。
コウノトリのデザインが描かれていることから、C.W.スローン診療所は安産・子宝祈願にご利益があるスポットだと言われています。
妊娠にまつわるお願い事をしたいという方は、ぜひ足を運んでみては?
▷▷パークの妊娠にまつわるジンクスはこちらでご紹介しています。
他のスポットもご紹介していますので、こちらもぜひあわせてどうぞ。
D.B.樽屋
続いてこちらはダリウス・バトラーが経営するD.B.樽屋(D.B.Cooperage)です。
屋根の上に何やら木箱が乗っています。
お店の近くでは複数箇所に「Barrels Made & Repaired(樽の製造と修理)」と書かれており、樽の製造だけでなく修理も担っていたことがわかります。
ケープコッドでは町のあちらこちらに樽が置いてあります。
漁業が盛んなケープコッドでは、魚の塩漬けなどで樽が重宝されているのでしょう。
ラブクラフト保税倉庫
ピーコッド・ストリート突き当たりを左に曲がった先、クランベリー・ボグ・ロードにあるのはラブクラフト保税倉庫(Lobevraft Bonded Warehouse)です。
ここは外国の貨物を保税(関税を保留にすること)状態で保管しておける倉庫です。
輸出入をする際に欠かせない場所ですね。
ダッフィー&フレンズのイベント期間中には大きなイラストが登場し、フォトスポットとして人気を集めています。
コブズ・ブラックスミス
ラブクラフト保税倉庫のお隣にあるのはコブズ・ブラックスミス(Cobbs’ Blacksmith)です。
こちらは船で使う道具を作る鍛治屋です。
「Black」は鉄のことを指すので、主に鉄を扱う職人さんのようですね。
たくさんの道具をモチーフにした看板が可愛らしいです。
ケープコッドで使われる数多くの道具は彼が手がけていたのでしょう。
メルビルズ・ワーフ
コブズ・ブラックスミスに隣接するこちらの建物はメルビルズ・ワーフ(Melville’s Wharf)、波止場です。
看板には「Coal & Wood」と書いてあり、主に石炭や木材を取り扱っているようです。
ダッフィー&フレンズのイベント期間中はこちらでもグリーティングが行われていましたね。
ロブスター・フィッシング
クランベリー・バグ・ロードを少し戻った反対側にある小さな小屋。
こちらはJ.W.エリスと息子のロブスター・フィッシング(Lobster Fishing)です。
壁には様々な浮きがかけられています。
それぞれサイズや形が違いますが、漁によって使い分けているのでしょうか。
建物左側にかかっている看板は真っ赤なロブスターデザインです。
建物の下側が剥げていますが、これは台風などの水害によって浸水したためだと思われます。
穏やかな雰囲気のケープコッドですが、実は長年台風などの自然災害に悩まされていたのです。
こういった細やかな演出も、そんな歴史を感じられるポイントのひとつです。
また、建物の裏側にはこんな文字が書かれています。
「Live Bait(生き餌)」「Traps(罠)」と書かれていることから、こちらの小屋では漁のエサや道具も販売しているようです。
グランドバンクス・カナリー
最後にご紹介するのはグリーティング施設ヴィレッジ・グリーティングプレイスやトランジットスチーマーラインがある建物です。
こちらはグランドバンクス・カナリー(Grand Banks Cannery)という缶詰工場です。
漁の中でも特にタラ漁が盛んだったケープコッド。
グランドバンクス・カナリーはタラの塩漬けを代表とする数々の缶詰商品を製造していました。
ここで作られた缶詰は、タワー・オブ・テラーの原型であるホテル・ハイタワーにも出荷されていました。
▷▷タワー・オブ・テラーとケープコッドのつながりについてはこちらでご紹介しています。
小さな村の中でも一際大きなグランドバンクス・カナリー。
ケープコッドの産業を支える大黒柱のような存在なのかもしれませんね。
まとめ
ケープコッドの建物についてのご紹介でした。
東京ディズニーリゾートではアトラクションやレストランだけでなく、街並みにもしっかりとストーリーが用意されています。
建物や看板の文字や絵を読み解いていくと、意外な発見があって新鮮です。
みなさんもぜひケープコッドに訪れた際は街並みや建物にも目を向けてみてください。
村人たちのあたたかさを感じられるはずです。
それでは、良い冒険を!
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