東京ディズニーランドの人気アトラクション「ウエスタンリバー鉄道」は蒸気機関車に乗って開拓時代のアメリカ西部を旅するアトラクションです。
乗車時間が長く座ってのんびりできることから、休憩がてらに乗るという方も多いのではないでしょうか?
ですが、休憩に使うだなんてもったいない!
ウエスタンリバー鉄道には知ればアトラクションがもっともっと楽しくなるトリビアがたくさんあります。
今回は豆知識やバックグラウンドストーリーが大好きな筆者がウエスタンリバー鉄道にまつわる豆知識をまとめてご紹介していきます。
ウエスタンリバー鉄道は東京ディズニーランドのアドベンチャーランドにあるアトラクションです。
蒸気機関車に乗って開拓時代のアメリカ西部を巡るアトラクションで、お子様からお年寄りまで幅広いゲストが楽しめるアトラクションとして親しまれています。
所要時間:約15分
収容人数:140名
最高速度:12km/h
路線距離:1.61km
自転車の同じくらいのゆったりペースで進んでいくので、のんびりまったりと風景を眺めることができます。
体験時間がおよそ15分と長めなのも嬉しいですね。
屋根がついているため雨天時にも乗ることができますが、窓がないため風があると横から吹き込んできます。
夏や冬は気温対策も必要です。
それでは早速ウエスタンリバー鉄道にまつわる豆知識をご紹介していきます。
ディズニー生みの親であるウォルト・ディズニー。
彼は幼少の頃から大の鉄道好きでした。
大人になっても鉄道への愛は劣えることなく、むしろ想いが増していきました。
そしてついには自宅の庭に鉄道を敷設するほどに!
終始鉄道に愛を注いだウォルトは、ディズニーパークを作る際も鉄道のアトラクションを真っ先に構想に取り入れたそうです。
ディズニーランド(アナハイム/最初のディズニーパーク)にはパークを周遊するアトラクション「ディズニーランド鉄道」があり、4つの駅を自由に乗降できるようになっています。
そして東京ディズニーランドにおける、ディズニーランド鉄道に代わるアトラクションがウエスタンリバー鉄道です。
ウエスタンリバー鉄道はウォルトの強い思いが込められたアトラクションなのです。
ウエスタンリバー鉄道は元々、ディズニーランドのようにパークを一周し途中の駅で自由に乗降できるアトラクションにする予定でした。
ですが当時の日本は鉄道事業法に基づき、鉄道の運用には厳しい制限がありました。
途中乗降を可能にするためには運賃が必要になったり、運転手に鉄道事業の免許が求められたりしたため、止むを得ず環状運転という形式になりました。
ちなみに鉄道事業法は後に改正され、2001年にオープンした東京ディズニーシーではディズニーシー・エレクトリックレールウェイの2点間輸送が可能になりました。
移動手段として乗るのもいいですが、世界観に没入しながら景色を贅沢に楽しめるのはウエスタンリバー鉄道ならではの醍醐味ですよね。
ところで、「ウエスタンリバー鉄道」という名前がついているにも関わらずアドベンチャーランドにあることに疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
これは深い意味がある訳ではなく、通過するエリアが主にウエスタンランドであるためです。
通過エリアはアドベンチャーランド → ウエスタンランド → クリッターカントリー → ウエスタンランド →アドベンチャーランドとなっており、実は3つのテーマポートを股に掛けるアトラクションなのです。
そしてアトラクション終盤では恐竜が生きていた頃の太古の時代へタイムスリップという特別な体験もできます。
おっと、これはアトラクションに乗った人だけの秘密でしたね(笑)
ウエスタンリバー鉄道の乗降口は建物の2階です。
そして同じ建物の1階にあるのがジャングルクルーズ:ワイルドライフ・エクスペディション。
ウエスタンリバー鉄道もジャングルクルーズもどちらも観光をテーマにしたアトラクションです。
一体なぜこのふたつのアトラクションが同じ建物にあるのかというと、そこにはバックグラウンドストーリーが深く関わっています。
というのも、ウエスタンリバー鉄道もジャングルクルーズも「サファリ・トレーディング・カンパニー」という会社が立ち上げた事業なのです。
はじめは交易とカヌーによる物資の運搬を生業にしていたサファリ・トレーディング・カンパニーでしたが、事業を成功させ次第にクルーズ船や鉄道にも手を広げていきました。
ふたつのアトラアクションが同じ建物内にあるのは、こうした背景があるからなのです。
ウエスタンリバー鉄道のQライン(待ち列)では、サファリ・トレーディング・カンパニーが貿易をおこなっていた頃の名残りを感じられるプロップスがあります。
階段を上がってすぐのところにある「Telegraph Office(電報局)」という札がかけられたこちらの小さなブース。
ここは電報局兼チケット売り場なのですが、各地から仕入れた工芸品や食料品などを見ることができます。
フルーツや缶詰、ドリンクなどの食料品、さらには綺麗な浮き玉や手編みのカゴ、珍しい民族楽器といった工芸品や民芸品もあります。
これらはサファリ・トレーディング・カンパニーが貿易で築いた仕入れ先から届いた品かもしれませんね。
ウエスタンリバー鉄道の車体は全部で4種類あります。
それぞれコロラド号、ミズーリ号、リオ・グランデ号、ミシシッピ号とアメリカを流れる川にちなんだ名前がつけられています。
車体ごとにカラーリングや車体番号、モチーフのイラストなどが異なります。
コロラド号 … 色:赤色 車体番号:53
ミズーリ号 … 色:緑色 車体番号:28
リオ・グランデ号 … 色:朱色 車体番号:25
ミシシッピ号 … 色:青色 車体番号:20
どの列車に乗れるかは行ってみてのお楽しみです。
走っているウエスタンリバー鉄道を見かけたらぜひ種類にも注目して楽しんでみてくださいね。
ウエスタンリバー鉄道のモチーフは蒸気機関車ですが、実際に蒸気のエネルギーで動く本物の蒸気機関車であることをご存じでしょうか。
煙突からもくもくと噴き上がる煙、シュッシュッというあの音は演出ではなく、実際の蒸気そのものなのです。
一般的な蒸気機関車には燃料に石炭が使われることが多いのですが、ウエスタンリバー鉄道では灯油を燃焼することで蒸気を発生させています。
一周するのに必要な水はおよそ2,000リットル!
桁が多すぎて想像がつかないか量かと思いますが、一般的な家庭用の浴槽がおよそ200〜250リットル。
その10倍となると、かなりの水量であることがご想像いただけるかと思います。
運がよければ発車前に駅の給水塔から炭水車に水を入れる様子を見ることができます。
この給水作業に当たるにはボイラー技士2級の免許が必要です。
知らなければただの作業のようにも見えてしまう光景ですが、プロフェッショナルなエンジニアの活躍によって成り立っているのですね。
ウエスタンリバー鉄道のキャストさんは業務内容によって2つのグループに分けることができます。
案内や誘導をするのがアトラクションキャスト、給水作業やメンテナンス、そして運転を担当するのがメンテナンスキャストです。
アトラクションキャストは黒い制服、メンテナンスキャストは水色のつなぎのようなユニフォームを着ています。
このメンテナンスキャストの制服ですが、実は実在したケイシー・ジョーンズ(1863年-1900年)という人物がモデルになっています。
ケイシーは立ち往生していた貨物列車と彼の運転する旅客列車の事故で唯一命を落としました。
身を呈して乗客の命を救った人物として、アメリカでは英雄として称えられています。
ディズニーは後にケイシーを主役に描いた短編アニメ映画『勇敢な機関士』を制作しています。
さらに『リラクタント・ドラゴン』と『ダンボ』にはケイシー・ジュニアという蒸気機関車のキャラクターが登場しますが、これは彼の子供の名前に由来して名付けられました。
機関車を語る上で欠かせない彼の存在。
メンテナンスキャストのユニホームはそんなケイシーへの敬意の気持ちが込められているのです。
さて、ここからはアトラクション乗車中にまつわる豆知識をご紹介していきます。
まずは車内のアナウンスについて。
見所の解説をしてくれるナレーションの声ですが、1999年から青野武(あおの たけし)さんが担当しています。
『ちびまる子ちゃん』のおじいちゃん役、『ドラゴンボールZ』のピッコロ大魔王役をはじめとする数々のアニメで活躍されていた超一流の声優さんです。
どこかで聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
ディズニー映画では『リトル・マーメイド』のバイアル博士役、『ティンカー・ベルと月の石
』のトロール役など演じています。
残念ながら青野さんは2012年に亡くなっていますが、ウエスタンリバー鉄道は今現在も彼の声を聞ける貴重な場所なのです。
アトラクションの見所を教えてくれるアナウンス。
しかし、そのアナウンスによって私たちゲストが「視線誘導」されている場所があります。
それがこちらの2ヶ所です。
2ヶ所に共通する点は、「右側に見えるのは〜」といったアナウンスを入れることでゲストの目線を進行方向右側に誘導しているという点。
思わず右側を見がちですが、そのときに左側を見るとディズニー側がゲストから目線を避けたいものが見えます。
こちらは少々現実味のあるお話のため、詳しくは別記事でご紹介しています。
気になる方はアナウンスと反対方向を見てみてくださいね。
ウエスタンリバー鉄道ではヘビや鳥、シカなど様々な動物の姿を見ることができます。
右と左で見える動物が違うため、いつも同じ方に乗るという方はたまには座席チェンジしてみても面白いかもしれません。
ちなみにウエスタンリバー鉄道は時計回りで周回するため、初めて乗車する方は見所の多い右側の席がおすすめです。
ウエスタンリバー鉄道ではジャングル→開拓時代→クリッターカントリー→ビッグサンダー・マウンテン→太古の時代と様々な時代や場所を巡りますが、場所によって見える動物の種類も異なります。
出発してすぐのジャングルエリアではこのようなアナウンスが入ります。
このジャングルでは実に様々な野生動物たちが暮らしています。
木の間をよーく見てみると、トラ、カバ、それにヘビやワニなんかが見えるかもしれませんよ。
アナウンスを聞いてトラを探したことがある方も多いと思いますが、残念ながらトラは実際に見ることができません。
(トラのような鳴き声は聞こえることがあります)
ジャングル・クルーズでは実際に見ることができるので、ぜひ探してみてくださいね。
そして中盤の西部開拓エリアではシカ、プレーリードッグ、さらにはインディアンたちの姿を見ることができます。
インディアンたちは季節によって服装が変わります。
夏は裸足になり、冬は羽織ものを着ます。
こうした細やかな違いにも目を向けてみるとアトラクションがさらに楽しめますね。
インディアンを見つけたら「ミタクエ・オアシン(我々は仲間だ)」と声をかけることも忘れずに。
ちなみに、これらの動物たちはオーディオアニマトロニクスというディズニーオリジナルの技術が用いられています。
まるで本当に生きているかのようなリアルな動きが特徴的です。
ウエスタンリバー鉄道でも近くを通るビッグサンダー・マウンテン。
ビッグサンダー・マウンテンはかつて一攫千金を夢見る開拓者たちによって賑わいを見せていたものの、突然起こった怪奇現象によって人が立ち去った鉱山です。
そんなビッグサンダー・マウンテン付近で、唯一今も姿が見られる人物がいます。
彼の名前はセドナ・サム。
彼はビッグサンダー・マウンテンの採掘現場監督だったのですが、怪奇現象を機に山を降り、愛犬のディガーと共に静かに暮らすことにしました。
ビッグサンダー・マウンテンと関係がある人物ですが、実はビッグサンダー・マウンテンからは彼の姿を見ることができません。
セドナが見られるのはこちらの3つのアトラクションです。
ウエスタンリバー鉄道では左側に見えるので、ぜひ探してみてくださいね。
環状運転のウエスタンリバー鉄道ですが、アトラクションの乗降駅の他に廃駅が2つあることをご存知でしょうか。
ひとつはスティルウォーター・ジャンクション。
通過時にアナウンスが入るため知っている方も多いのではないでしょうか。
そしてもうひとつはダスティベンド・デポッド・ジャンクション。
こちらはかなりマイナーな駅です。
スティルウォーター・ジャンクションは西部開拓エリアにある廃駅です。
進行方向右手側、黄色と赤色の寂れた建物が駅舎です。
こちらの駅は開拓者たちで賑わっていた頃、乗り換え駅として利用されていました。
そのため駅には給水塔もあります。
駅にはランプがついていたり、作業途中なのか工具や道具が出しっ放しになっていたり、つい最近まで人がいたような雰囲気です。
また、駅舎の中にはディズニー映画『ポカホンタス』に肖って名付けられた「ポカホンタス薬」の広告も貼られています。
ちなみに、スティルウォーター・ジャンクションのモデルになったのはウォルト・ディズニーが少年時代を過ごしたミズーリ州の駅なんですよ。
ダスティベント・デポット・ジャンクションがあるのはビッグサンダー・マウンテンの近く。
恐竜の骨があるところのちょうど反対側(右側)にあります。
アナウンスもなく一瞬で通り過ぎてしまうため、注意深く見ていないと見過ごしてしまいます。
駅名の「DUSTY BEND DEPOT」は埃まみれの湾曲した駅という意味です。
ビッグサンダー・マウンテンが開拓者たちで賑わっていた頃は、採掘した鉱山を運搬するために使われていたのでしょうね。
ビッグサンダー・マウンテンのQラインからは駅の全体像を見ることができます。
最後にご紹介するのは植物に関する豆知識です。
様々な植物が植えられている東京ディズニーランドですが、実はウエスタンリバー鉄道乗車中に見られる植物の中に世界的に希少価値のあるとても珍しいものがあります。
それがこちらの針葉樹。
通称ジュラシックツリーと呼ばれている植物で、ジュラ紀(2億年〜1億5千万年前)から生存し現存する最古の種子植物とされています。
正式名称:ウォレマイ ・パイン(Wollemi Pine)
科属名:ナンヨウスギ科
現存する木の樹齢:500〜1,000年
まさに生きる化石ですね。
ジュラシックツリーが植えられているのはアトラクション終盤、トンネルに入る直前です。
まるでこれから太古の時代にタイムトリップするという伏線のようですね。
この場所を通過する際はそういったことも念頭に置いて、遥か遠い太古の時代へ思いを馳せてみては?
ちなみに、ジュラシックツリーはお隣東京ディズニーシーのポートディスカバリーでも見ることができます。
こちらも難易度はやや高めですが、ぜひ探してみてくださいね。
東京ディズニーランドの人気アトラクション「ウエスタンリバー鉄道」にまつわる豆知識のご紹介でした。
ウエスタンリバー鉄道は実際に蒸気で走る蒸気機関車、一瞬で通り過ぎてしまう廃駅、希少な植物などどれも本物にこだわるディズニーらしさが詰まったアトラクションです。
ウォルトの鉄道に対する思いを最大限に汲んだアトラクションとも言えるかもしれませんね。
乗車する際はぜひそういった細やかな部分にも目を向けてみてください。
それでは、よい冒険を!